財務支援 × MQ会計(BOX会計)】第2回

なぜ建設業経営に、MQ会計(BOX会計)が必要なのか

―― 受注産業・見えないQ・判断できない固定費 ――

皆さん、こんにちは。
株式会社飛躍のミカタ武村欽也です。
前回は、
建設業経営における
**「人日(にんにち)」**の考え方を整理しました。

忙しさを、
感覚ではなく数字で捉える。

これができるだけでも、
経営の見え方は変わります。

では次に、
こう感じた方も多いはずです。

「人日の考え方は分かった。
でも、それをどう経営判断につなげるのか?」

その答えが、
**MQ会計(BOX会計)**です。

建設業は「受注産業」であるという前提


まず、
建設業の構造を整理します。

製造業では、
・原価を積み上げ
・価格を決め
・利益(MQ)を想定して生産する
のが基本です。

一方、建設業はどうでしょうか。
・価格(受注額)が先に決まる
・工期が決まる
・原価は、現場が進む中で動いていく

つまり、

建設業では、
MQ(限界利益)が最初から確定していません。


これが、
建設業経営の難しさの正体です。

だから「終わってみないと分からない」が起きる


受注時点では、
・黒字のつもり
・問題ないはず
そう思っていた工事が、
・外注が増え
・手直しが入り
・人が想定以上に取られ
終わってみると、
「あれ?」となる。

これは能力の問題ではありません。
構造上、そうなりやすい業種なのです。

だからこそ、

終わってからでも
「どの工事がMQを生み、
どの工事がMQを削ったのか」

を、構造で把握する必要があります。

建設業のQ(数量)は、見えにくい

前回お話しした通り、
製造業のQはシンプルです。
・個数
・ロット
・生産量

しかし建設業のQは、
・工事件数
・工期
・人日
・現場数

と、複合的です。

このQを定義しないまま経営すると、
・忙しい
・人が足りない
・でも儲からない

という状態が起きます。

理由は簡単です。

「どのQに、どれだけのMQを使っているか」
が見えていないから。

MQ ÷ 人日 で、初めて会話が成立する


ここで、
MQ会計(BOX会計)の視点が入ります。

MQ ÷ 人日

これは、

1人日あたり、
どれだけの限界利益を生んでいるか


を示す指標です。

この数字が見えると、
・忙しさの質
・人の使い方
・現場の重さ
が、感覚ではなく判断材料になります。

建設業は「固定費」が一番判断しづらい

建設業の社長が、
一番迷う判断は何でしょうか。
・人を増やすか
・今は我慢するか

この判断です。

MQ会計(BOX会計)では、
この問いにこう答えます。

固定費は、
MQでしか支えられない


つまり、
・MQが増えていないのに
・固定費(人件費)だけを増やす
この判断は、
経営を不安定にします。

ここを感覚でやると、
・採用が博打になる
・投資が怖くなる

だから、
建設業経営には
MQ会計(BOX会計)が必要なのです。

まとめ(第2回で伝えたいこと)

建設業経営が難しいのは、
・社長の努力不足
・業界環境
・人手不足
ではありません。

・価格が先に決まる受注産業
・Qが見えにくい業種特性
・固定費判断が感覚に委ねられやすい構造


この3つが重なっているからです。

だからこそ、

MQ会計(BOX会計)で
構造から判断する必要がある。


次回予告

次回は、
いよいよ手を動かします。

「社長、まずはこのBOXを作ってください」

決算書から、
自社のMQ会計(BOX会計)を1つ作る回です