【連載:理念浸透と採用定着の実践メソッド】第1回目

皆さん、こんにちは。
株式会社飛躍のミカタ 武村欽也です。
今回から理念浸透と採用定着の実践メソッドについて
5回にわたって連載します。

第1回 【なぜ、あなたはこの事業をしているのか?】

—— 社長自身も、社員も答えられない“本質的な問い” ——

企業支援の現場で、私は経営者の方に必ずお尋ねする質問があります。
「何のために、誰のために、なぜこの事業をしているのですか?」
この問いに、即答できる社長は実は多くありません。
多くがこう言われます。
・「生活のため」
・「従業員の給料を稼ぐため」
・「会社を守るため」
もちろん、いずれもとても大切です。
しかし——**それは“目的”ではなく、“結果として必要なこと”**に過ぎません。

■ 経営者が答えに詰まる理由

経営理念は、ホームページや会社案内に書いてあっても、
社長自身が“言葉として取り出せるレベル”まで整理できていないことが多いからです。

理念は「ある」のに、
“言語化されていない/伝わっていない/日常の判断と結びついていない”。

この“理念と言葉のギャップ”は、多くの企業に共通しています。

■ 従業員は会社の“本質”を知っている

では社長が、自分の原点を語れないとき、
どこから理念のヒントを得るべきか?

それは——長く働いてくれている社員の声です。

社員にこう尋ねてみてください。
・「なぜ、この会社に長く勤めているの?」
・「この会社の良いところは?」
・「どんなところに魅力を感じている?」

辞める人の声ではなく、
辞めずに残ってくれている人の理由の中に、
会社の“本質”が隠れています。

そしてその魅力は、往々にして社長自身が気づいていないものです。

■ まず最初に取り組むべき問いとは?

理念浸透、採用定着、組織づくりを成功させたいなら、
まず取り組むべき問いはたったひとつです。

「なぜ、私はこの事業をしているのか?」

これは“きれいごと”ではありません。
社長自身が腹落ちしていなければ、
社員が共感し、応募者が惹かれ、会社が選ばれることはありません。

そしてこの問いは、
社長ひとりで考えるものではなく、社員の声と組み合わせて磨き上げるものです。

■ 結論:社長の原点 × 社員の実感 が理念になる

企業の理念は、社長の想いだけでも、社員の声だけでも完成しません。

社長が「なぜこの道を選んだのか」という原点

社員が「なぜこの会社で働き続けているのか」という実感

この二つが重なったとき、
はじめて“魂のこもった理念”となり、
採用力・定着率・組織力のすべてに直結します。

理念は経営の根っこ。
根っこを整えることが、会社の未来を根本から変えます。