【財務支援シリーズ】第1回

【財務支援シリーズ】第1回

社長、まず「貸借対照表のここ」だけ見てください

―― 利益が出ているのに、なぜ会社が楽にならないのか ――

皆さん、こんにちは。
株式会社飛躍のミカタの武村欽也です。
「利益は出ています」
「売上も伸びています」
そう言いながら、
どこか苦しそうな社長がいます。

理由は単純です。

損益計算書(PL)しか見ていない。
貸借対照表(BS)を、ほとんど見ていない。

今日は、
財務が苦手な社長でも大丈夫です。

まず“ここ”だけ見てください。

多くの社長が、PLだけで経営している

PLは分かりやすい。
・売上
・経費
・利益

一方でBSは、
・よく分からない
・税理士に任せている
・見てもピンとこない

だから見ない。

しかし、
PLだけで経営するのは、
スピードメーターだけ見て運転するのと同じ
です。

ガソリンがあるか。
エンジンは傷んでいないか。
それはBSにしか出ません。

まず見るのは「現金・預金」ではありません

BSを開いたら、
多くの社長はここを見ます。

「現金、いくら残っているかな」

もちろん大事です。
しかし、最初に見るべきはそこではありません。

最初に見るべきは、
「借入金」と「返済額」です。

・短期借入金
・長期借入金
・その返済スケジュール

ここを見ずに、
・人を採る
・設備を買う
のは、正直危険です。

借入金を見ると「経営の余力」が分かる

借入金は悪ではありません。

問題は、
・なぜ借りたのか
・何に使ったのか
・今、返せているのか
が分かっていないこと。

借入金を見れば、
この会社が“どこまで無理をしているか”が分かる。


採用できるかどうかも、
ここに直結します。

次に見るのは「未成工事支出金」

建設業の社長なら、
ここを必ず見てください。

未成工事支出金。
・工事は進んでいる
・でも、まだ売上になっていない
・お金だけが先に出ていっている

この数字が膨らんでいるのに、

「今月は利益が出ました」
と言っても、
現実は全く別です。

ここを見ないと、
・資金繰りが読めない
・人を増やしていいか分からない
・工事を取る怖さが分からない
という状態になります。

そして「純資産」を必ず見る


最後に、
ここだけは外せません。

純資産。
・利益の積み上げ
・過去の経営の結果
・会社の体力
です。

純資産が薄い会社は、
・少しの赤字で苦しくなる
・採用が怖くなる
・投資に踏み切れない

逆に、
純資産が厚い会社ほど、判断が早い。
一生懸命な社長ほど、
ここが強い。

なぜ財務支援が必要なのか

ここまで読んで、
こう思ったかもしれません。

「見ればいいのは分かった。でも、毎回は無理だ」
その通りです。
・数字は毎月変わる
・工事ごとに状況が違う
・人が増えれば複雑になる
だから“人の頭”では追えない。

ここで初めて、
財務DXが必要になります。

財務DXは「分からない」を減らすためにある

財務DXの目的は、
・経理を楽にすること
・税理士の仕事を減らすこと
ではありません。

社長が、
「分からない状態」で判断しなくて済むようにすること。

・今、採用していいのか
・今、工事を取っていいのか
・今、借りても大丈夫か

これが
数字で分かる状態を作る。
それが、財務支援の出発点です。

まとめ(今日やってほしいこと)


今日は、これだけで十分です。
・試算表を開く
・貸借対照表を見る
・① 借入金
 ② 未成工事支出金
 ③ 純資産

この3つに、
赤ペンで丸を付けてください。

それができれば、
経営はもう一段、前に進みます。

次回予告


次回は、

「建設業なのに“商業簿記のPL”で経営していませんか?」
製造原価計算書がない会社が、
なぜ必ず詰まるのかを掘り下げます。